TOPへ

花粉症外来(舌下免疫療法)

花粉症とは

花粉症とは

ある特定の植物の花粉がアレルゲンとなってアレルギー症状が現れる状態を花粉症と言います。植物によって花粉の飛散時期が違うため、季節性アレルギーとも称されます。主にアレルゲンとなる植物は、ヒノキ・スギ・シラカバ・ケヤキ・ハンノキ・ブナ・コナラなどです。草花では、イネ科・キク科・アサ科などが挙げられます。日本にはスギが多くあることから、スギ花粉症の方が多くいます。花粉症全体の約7割以上がスギ花粉症であるとも言われています。スギは戦後に植樹した株が年月を経て成長したのに加えて、スギ花粉の飛散距離が長く、花粉量も多いです。

花粉症の症状について

花粉症の主な症状は、くしゃみや鼻水、鼻づまり、眼の痒み、涙、喉の違和感、咳症状、息苦しさ、肌の乾燥や痒み、湿疹などの症状が現れます。
鼻水や喉の痛みは風邪の症状にもみられますが、花粉症との大きな違いは「水のようにサラサラした透明色の鼻水」が出ること、また「喉が痒い感じ」があることです。上記のような症状が1週間以上長引く場合、また発熱がなく強い倦怠感がない場合には花粉症が考えられます。
また、元々皮膚が敏感な方やアトピー性皮膚炎の方は、皮膚症状が目立って花粉症に気付かないこともあります。
花粉症は、鼻炎の症状などの不快感で集中力が低下したり、寝不足になったりします。これらの症状によって日常生活の質が大幅に低下することもあるため注意が必要です。花粉症にお悩みの方は、早めに医療機関を受診されることをお勧めしております。

なぜ花粉症になるのか

花粉が目や鼻に侵入し粘膜に付着すると、粘膜にあるリンパ球が異物と認識します。異物を撃退できるようIgE抗体を生成し、次に花粉が侵入した時に備えます。その後、花粉が侵入し粘膜に付着するとIgE抗体が花粉と結合し、ヒスタミンなどのケミカルメディエーターを放出します。これが神経を刺激し、鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどの症状を起こします。ある日突然、花粉症の症状が出たなどは、IgE抗体が一定以上に増量し、免疫反応の備えが万端になり、一気にケミカルメディエーターが放出されるためと言われています。また、最近では、免疫反応だけでなく経皮感作といって免疫防御力が低下した皮膚から直接花粉が侵入することが分かってきています。また、花粉だけでなく、排気ガスなどのダストが花粉と結合した物質もアレルゲンとなるなど、複合的なアレルゲンが原因となることもあります。

花粉症の検査

血液検査を行い確定診断します。花粉の種類によるIgE抗体を測定します。アレルゲンを特定することで、より有効な治療が可能になります。また、症状が出る時期よりも早いタイミングで治療を始めることで軽い治療で済むこともあります。

花粉症の治療

1. 抗ヒスタミン薬

花粉症の治療でまず行うのが抗ヒスタミン内服薬による治療です。アレルギー症状の原因がヒスタミン分泌であることから、ヒスタミンに対して各細胞が反応しない状態にします。アレルギーの約7割がヒスタミンに関与しているとされていることから、まずは抗ヒスタミン薬を用いた治療を行います。

2. その他のケミカルメディエーターに関与する内服薬

抗ヒスタミン薬による治療を行っても効果を得られない場合には、抗ロイコトリエン拮抗薬や抗トロンボキサン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬などを併用して治療を行います。

3. 舌下免疫療法

内服薬治療による対処療法では治療効果が不十分な場合、または根本的に治療したい場合には、舌下免疫療法を行います。舌下免疫療法は、花粉と同様の物質を体内に少量ずつ入れていきます。これは減感作療法といって、体内の細胞がアレルゲンを異物と認識しないように慣らしていく療法です。

4. 抗IgEモノクローナル抗体:
オマリズマブ

舌下免疫療法を行っても治療効果が得られない場合には、オマリズマブ皮下注射を検討します。このオマリズマブ皮下注射は、近年重篤な季節性アレルギー性鼻炎にも有効であることが認められました。ただし、副作用が強く出ることと高額であること、それでいて対処療法であるため容易に取り入れることはお勧めできません。しかし、どんな治療を行っても改善が見られないケースや花粉症の症状で日常生活が困難になっている方にとっては明るい選択肢であるとされています。

5. その他の治療

花粉症のその他の治療としては、鼻粘膜のレーザー治療が保険適応で認められています。ただ一時的に症状を緩和させたい場合などには有効ですが、根本的な治療方法ではありません。効果を実感できるのには個人差があるほか、1回の照射で完結するわけではないなど注意点がいくつかあります。治療のタイミングを図り、他の花粉症の治療と組み合わせるなど工夫が必要です。

舌下免疫療法

ヒスタミンなどアレルギー反応に関与する物質をブロックするのに有効なのが、抗ヒスタミン薬・抗ロイコトリエン薬・抗トロンボキサンA2薬などです。アレルギー反応を起こしにくくする根本的な治療として挙げられるのが舌下免疫療法です。アレルゲンと同様の物質を体内に少量ずつ入れていきます。身体の細胞がアレルギー物質に慣れることが目的で、これを減感作と言います。舌下免疫療法では、舌の下に薬を置いて溶かしながら内服します。
現在では、スギ花粉とダニアレルギーに有効な治療とされています。スギ花粉アレルギーにはシダキュア、ダニアレルギーにはミティキュアを用います。治療継続期間は最低でも3年、可能であれば5年続けることでアレルギー症状が出にくい状態になります。治療を継続して行ったほとんどの患者様が治療前よりもアレルギー症状が軽減していることを実感しています。このため、根気よく治療を続けることが大切です。治療を始めて最初の1カ月は、口腔内の違和感が副反応として現れることがありますが、徐々にそれらの症状も消失しますのでご安心ください。

オンライン診療も対応

当院の花粉症外来では、オンライン診療にも対応しております。花粉症の症状でお困りの方は、外出することなく自宅から医師の診察を受けることが可能です。忙しい方や外出が難しい方でも、安心してご相談いただける環境を整えております。

オンライン診療