女性AGA(FAGA)
FAGAについて
FAGAとは女性男性型脱毛症といって、女性の薄毛の総称です。FAGAは、研究が始まった当初(1964年頃)は男性のAGA(男性型脱毛症)と同様だとされていましたが、昨今ではAGAとは発症原因が異なるものだと判明してきました。
FAGAの症状
AGA(男性型脱毛症)の主な症状は、前頭部や頭頂部の毛髪が薄くなるとされています。女性のFAGAの場合、局所的な脱毛ではなく頭全体が薄くなるというのが大きな特徴です。発症が多くみられる年代は、主に40~50代の女性とされ、稀に20代と若い年代にも現れることがあります。薄毛になる症状にも個人差があります。
FAGAの原因
主な原因は、AGA同様にホルモンバランスが関与していると考えられます。AGAは一部的な抜け毛なのに対して、FAGAは頭部全体と広範囲に脱毛症状が出るため、視診だけでは診断できません。広範囲に及ぶ脱毛をびまん性脱毛症と言います。びまん性脱毛を起こす原因には、ホルモンバランスの乱れのほか、生活習慣の乱れや過度のストレス、ピル(経口避妊薬)による影響、膠原病などの全身疾患の影響などが挙げられます。
加齢や妊娠・出産による
女性ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンであるエストロゲンには、毛髪の成長期を長くする機能があります。しかし妊娠や出産、加齢などでエストロゲンが大幅に減ってしまうと、女性ホルモンの働きが下がり、脱毛や薄毛を引き起こしてしまいます。
栄養不足
毛髪の細胞は十分な栄養素によって健康な頭皮や毛髪が維持されます。生活習慣の乱れなど不摂生や過度のダイエットによって栄養不足やバランスの乱れによって健康な育毛ができなくなってしまいます。これが脱毛や薄毛に繋がってしまいます。
慢性的なストレス
ストレスは自律神経を乱してしまいます。心身のストレスが慢性的にあると、血行不良を起こし毛髪の栄養素が不十分となって脱毛や薄毛を招いてしまいます。
睡眠不足
髪の毛の成長が促されるのは、睡眠中です。睡眠中に成長ホルモンの働きが活発になり、正常な毛髪へと育ちます。長期にわたって睡眠不足が続くと、育毛が妨げられて脱毛や薄毛を引き起こしてしまいます。
全身疾患
膠原病や甲状腺機能低下症、鉄欠乏性貧血などの全身疾患の合併症として脱毛が起こることがあります。女性がかかりやすい疾患によって脱毛や薄毛の症状が進行することがあるため、抜け毛が急激に目立ってきた場合には注意が必要です。
薬剤
ピル(経口避妊薬)を服用することで、脱毛が進むことがあります。
FAGAの治療に利用する薬
FAGAの治療には、内服薬や外用薬があります。脱毛の進行や薄毛の症状には個人差が大きく、治療方法も様々です。内服薬と外用薬を併せて治療をすることもあります。
外用薬
ミノキシジル
AGA治療薬に用いられる有効成分です。ミノキシジル外用薬は頭皮に直接塗ります。副作用として初期脱毛が起こることがありますが、全身に影響を及ぼす副作用は起こることはないとされています。初期脱毛は、症状が出てから約4週間程度で治まります。
内服薬
パントガール
女性の薄毛治療に有効な内服薬です。毛髪の生成に有効なパントテン酸カルシウムやケラチン、シスチンなどの成分が豊富に含まれています。重篤な副作用はありませんが、妊娠中や授乳中の方は事前にご相談ください。
ミノキシジル
薄毛治療に有効とされる内服薬です。ミノキシジル外用薬と同様、初期脱毛や多毛症が副作用として現れます。多毛症は体毛が増えてしまうため、女性にとって心配事が増えますがミノキシジルの内服を中止することで症状は治まります。
なお、AGAとFAGAでは薄毛の原因が異なります。このため、男性のAGA治療薬として用いられるフィナステリドやデュタステリドに含まれる有効成分は、女性のFAGA治療にはリスクが高く投与は禁止されています。服用だけでなく薬剤に触ることも禁忌されています。
FAGA以外の脱毛症の種類
FAGAは女性ホルモンバランスの乱れや生活習慣が影響して発症します。女性が発症する脱毛症には、FAGA以外にもいくつかあります。脱毛が起こる原因によって治療方法は異なります。このため、薄毛治療を行う際には、原因をしっかりと見極めることが大切です。
円形脱毛症
毛髪が円形に抜け落ちてしまう状態を円形脱毛症と言います。円形脱毛症は後天性の脱毛症で、頭髪の脱毛が一般的ですが全身に脱毛症状が見られることもあります。
牽引性脱毛症
髪の毛を結ぶ機会が多い女性に見られる脱毛症です。長期間、継続的に毛根や頭皮に負荷がかかることが原因で起こります。牽引性脱毛症を予防するには、髪の結ぶ位置を毎回変えたり、分け目を意識的に変えることが大切です。その他の脱毛症や疾患との区別が困難な場合があるため、気になる症状がある場合には一度医療機関にご相談ください。
粃糠(ひこう)性脱毛
シャンプーによる頭皮の乾燥や洗い残しによる炎症が起こり、フケが出来て脱毛が起こります。
脂漏性脱毛
脂漏性皮膚炎が原因で頭皮が炎症を起こし、脱毛が進みます。頭皮の常在菌であるマラセチア菌が異常繁殖することが大きな原因とされています。
治療の流れ
当院では、女性の患者様が安心して診療を受けられるよう、プライバシーに配慮しながら診察へご案内させていただいております。また、オンライン診療も実施しておりますので、お仕事や家事などでお忙しいかたやご来院が困難な方もオンライン診療をご利用いただき、薄毛治療を継続いただけます。治療は、以下のような流れで行います。
- ご予約
- カウンセリング
- 医師による診察
- 薬剤の処方・お会計
よくあるご質問
初診時の時間は
どれぐらいかかりますか?
初診の際は、カウンセリングにしっかりと時間をとっているため、約60分程度かかります。患者様のお悩みをはじめ、現在の健康状態について丁寧に問診を行います。薄毛治療において患者様が納得した上で治療を進めるためにも、ご理解よろしくお願いいたします。
カウンセリングは
どのような感じでしょうか?
薄毛のお悩みや健康状態、生活習慣、治療経過などについて丁寧にお伺いしております。また、治療中の薬剤などがある場合もお気軽にご相談ください。
診療時のヘアスタイルに
制限はありますか?
髪型をどのようにセットしてご来院いただいても大丈夫です。ただし、発毛経過を毎診療時に撮影するため、頻繁に髪型が変わると分かりにくくなってしまいます。
診察室でのカウンセリングと
オンライン診療時での内容は
異なりますか?
カウンセリングや診察の内容に違いはありませんが、オンライン診療の場合は、患者様に頭部の撮影をお願いすることがあります。
更年期障害
更年期はいつから?
女性は40代頃から女性ホルモンが緩やかに減少をし始め、卵巣機能が低下し、徐々に月経周期も乱れ始めます。
女性のライフステージは以下のように、4つの段階に分かれているとされています。
年齢 | 段階 |
---|---|
10~18歳 | 思春期 |
18~45歳 | 性成熟期 |
45~55歳 | 更年期 |
55歳~ | 更年期以降 |
女性の更年期とは、閉経を迎える前後10年間を指します。日本人女性の閉経年齢の平均は約50歳です。このため、だいたい50歳前後5年ですから目安として、45~55歳頃を更年期と言います。ただし、閉経を迎える年齢には個人差があります。
閉経の判断基準
女性の年齢が更年期に入っていて、かつ月経が1年以上ない場合には「閉経」と判断されます。
更年期障害の原因
更年期になると、卵巣機能が低下して徐々に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌も減少します。徐々にホルモンバランスが乱れてくることで、女性は更年期になると全身に様々な不調が現れます。女性ホルモンは自律神経と同様に、視床下部でコントロールされています。視床下部では、血圧や心拍、血流、体温、発汗、免疫、感情に関わる制御器官であるため、女性ホルモンの乱れによって大きく影響を受けてしまいます。
どういった不調が起こるのか
更年期に現れる全身の様々な不調で他の疾患が原因ではない症状を「更年期症状」と言います。また、それらの症状が日常生活に影響を及ぼし、支障をきたすほどのものを「更年期障害」と言います。
主な症状
精神・神経系 | 頭痛・物忘れ・不安感・憂鬱感・眠れない・耳鳴り・ めまい・倦怠感・判断力の低下・集中力の低下 |
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自律神経系 | 動悸・息切れ・冷え性・手足が冷える・のぼせ・ほてり |
知覚系 | 痒み・痺れ・知覚過敏・鈍麻・虫が這うような感覚 |
運動器系 | 肩こり・腰痛・関節痛・筋肉痛・背中の痛み |
皮膚・分泌系 | 皮膚や粘膜の渇き・湿疹・ドライアイ・ドライマウス・ 発汗量が増える・唾液の分泌異常 |
消化器系 | 便秘・下痢・腹部の張り感・吐き気・食欲低下・喉のつかえ感 |
泌尿器・生殖器系 | 月経異常・性器下垂感・残尿感・外陰部の痒み・性交障害 |
更年期における体調不良の原因は1つではなく、様々な要因から起こります。加齢などによる身体的因子をはじめ、性格や特性などの心理的因子、家族や仕事における人間関係など社会的因子など複合的に関与して現れます。
治療
更年期症状には個人差があり、それぞれ症状の出方や原因が異なります。まずは、食事習慣や運動習慣などこれまでの生活習慣を見直します。それでも症状の改善がみられない場合は、薬物療法をご提案しております。
更年期障害の治療で
用いられる薬剤
漢方薬 | 症状や体質に適した漢方薬を使用します。 また、ホルモン剤と一緒に処方することもあります。 |
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ホルモン補充療法(HRT) | 不足するエストロゲンを薬剤で補充します。 のぼせや冷え・ほてり・発汗などの症状に適しています。 |
抗うつ剤・抗不安薬・ 催眠鎮静薬 |
不安や憂鬱感・不眠・不安・イライラ感などの症状にお悩みの場合に処方します。 |
更年期障害は、患者様の症状や体質に適切な治療を行うことで、大幅に症状を軽減できることがあります。このため、更年期障害にお悩みの方は当院までお気軽にご相談ください。
アフターピル
アフターピルとは
アフターピルは、妊娠を望まない場合に避妊しなかったり、避妊に失敗したりしたケースに緊急措置として取れる避妊方法です。性行為から72時間以内に黄体ホルモン剤であるアフターピルを服用することで、妊娠を阻止することができます。別称モーニングアフターとも呼ばれています。アフターピルをご希望の方は、なるべく早い段階での服用で高い効果を得られるため、速やかにご相談ください。通常、72時間以内に服用することで、約70%の妊娠阻止率であると言われています。
当院で扱っている
アフターピルの種類と費用
当院では、ノルレボ錠のジェネリック医薬品「レボノルゲストレル」を処方しております。ノルレボ錠は、WHO(世界保健機関)が必須薬(エッセンシャルドラッグ)として認定し、2011年に初めて日本で承認されたアフターピルです。
1錠を服用することで緊急的に妊娠を阻止する薬剤であって人口妊娠中絶薬とは異なります。なお、日本国内では人口妊娠中絶薬は承認されていません。ノルレボ錠は、以下のような作用があります。
排卵を遅くする
服用することで数日間排卵するのを抑制し、授精を妨げ妊娠を阻止できます。
受精卵が子宮に着床するのを妨げる
排卵し受精卵となった場合でも服用することで、子宮内膜の増殖を防ぎ、着床するのを妨げ、妊娠を阻止できます。
副作用
確率は極めて低いのですが、頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、下腹部痛のような副作用が現れることもあります。
妊娠が回避できたかの判定方法
性行為があった日から3週間が経った頃に、妊娠検査薬を試すことをお勧めしております。妊娠検査薬は市販の物で構いません。生理予定日よりも1週間以上遅れている場合、出血がいつもよりも少ない場合には早めにご相談ください。
避妊相談について
当院では、望まない妊娠や計画していない妊娠を防ぎたい方に、避妊に関する相談に対応しております。望まない妊娠を防ぐために、安全性や確実性に留意した様々な方法があります。当院では、患者様のご要望や生活習慣、既往歴などからお一人おひとりに適した避妊方法をご提案しております。
オンライン診療も対応
当院では、女性のAGA、更年期障害、アフターピルの処方など、女性特有のお悩みに対するオンライン診療も対応しております。外出せずに自宅から安心して医師と相談できる環境を整えており、忙しい方や通院が難しい方はぜひご活用ください。